Cursorの「Claude Code」拡張に偽物、入れるだけでパソコンに“裏口”。10月29日に更新した人の確かめ方
AIエディタ「Cursor」の拡張機能ストアで、改ざんされたClaude Code拡張(2.1.312・2.1.313)が約11時間配られました。対象になる人、拡張機能を消しても残る“裏口”の確かめ方、見つかったときの対処と、これからの備えをまとめました。
AIと一緒にプログラムを書けるエディタ「Cursor」で、改ざんされた「Claude Code」の拡張機能が配られていたことがわかりました。入れて読み込むだけで、攻撃者がパソコンに入るための“裏口”を作ろうとするものです。
配られていたのは10月29日の約11時間だけで、Cursorはすでに配布を止めています。ただ、拡張機能を消したり更新したりしても、仕込まれたものは残るとされています。この時間にCursorを使っていた人は、一度確かめておきましょう。
この記事では、Cursor・調査会社・Anthropicの発表をもとに、対象になる人と確かめ方、これからの備えをまとめます。
この記事のポイント
- 対象は、Cursorの拡張機能ストアにあったClaude Code拡張のうち、2.1.312・2.1.313の2つの版
- 日本時間の10月29日夕方(18:27)から翌朝(5:35)までに入れた・更新した人は確認を
- 拡張機能を消しても裏口は残る。鍵の一覧に「svc-telemetry」がないか確かめる
- VS Codeの公式ストアやターミナル版のClaude Codeは対象外とされている
何が起きたのか
Cursorの公式の通知によると、Cursorの拡張機能ストアで、Anthropicの「Claude Code」の拡張機能に手を加えた偽物が配られていました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象のバージョン | 2.1.312、2.1.313 |
| 配られていた時間 | 日本時間 10/29 18:27 〜 10/30 5:35(米国太平洋時間 10/29 2:27 〜 13:35) |
| 影響を受けたかもしれない人 | 最大5,000人(Cursorの説明として報道) |
| 対象のOS | Cursorの通知ではMacとWindows。調査会社はLinuxでの動きも報告 |
Cursorは、問題に気づいてすぐにこの版を取り下げ、念のためストア全体を止めて、ほかの拡張機能に改ざんがないかを調べました。そのうえで鍵を入れ替えてストアを作り直し、攻撃者のサーバーも、サーバーの事業者と協力して止めています。
Anthropicは「作っていない」
Cursorの説明では、この偽物はAnthropicの手によるものではありません。AnthropicのFelix Rieseberg氏もXで、Anthropicのシステムや社員のパソコンが侵害されたのではなく、公式の配布元にある版は影響を受けていないと述べています。影響はCursorの利用者に限られるという立場です。
一方で、だれが、どうやってCursorのストアに改ざん版を置けたのかは、まだ明らかになっていません。最初は別の拡張機能ストア「Open VSX」で見つかったという報告もありましたが、調査会社はその後、配布元をCursorのストアに訂正しています。
入れると何をされるのか
調査会社Phorionの報告とCursorの通知によると、改ざん版は、拡張機能が読み込まれた時点で動き出します。Claudeに何かを頼む必要はありません。
- パソコンの名前、ユーザー名、OS、Gitに登録したメールアドレス、インターネット上の住所(IPアドレス)などを攻撃者に送る
- パスワードや鍵が入っていそうな環境変数の「名前」を送る(中身は送らないとされる)
- 攻撃者の鍵をSSHの「入ってよい鍵の一覧」に書き足し、外から入れるトンネルを作ろうとする
- パソコンを立ち上げるたびに動く仕掛けを残し、約1分ごとにつなぎ直そうとする
つまり、パスワードを盗むというより、あとから入り込むための入口を作ろうとするものです。
Cursorによると、管理者の権限がない多くのパソコンでは、SSHを有効にする処理が失敗するため、実際に攻撃者が入れた可能性は低いとされています。ただ、鍵の書き足しや、立ち上げのたびに動く仕掛け、情報の送信は起きた可能性があるので、確かめておく必要があります。
自分が対象か確かめる
1. 対象の時間にCursorでClaude Code拡張を使っていたか
日本時間の10月29日夕方から30日の早朝に、CursorでClaude Code拡張を入れた、または自動で更新された可能性がある人が対象です。拡張機能の一覧で、今のバージョンも確かめておきましょう。2.1.314以降になっていれば、改ざん版は取り除かれています(ただし、仕掛けが残っているかは別に確かめます)。
次のどれかに当てはまる人は、対象外とされています。
- VS Codeの公式ストアから入れたClaude Code拡張を使っている
- ターミナルで動かすClaude Code(npmで入れるもの)だけを使っている
- Cursorを使っていても、Claude Code拡張は入れていない
2. 鍵の一覧に「svc-telemetry」がないか見る
攻撃者の鍵には「svc-telemetry」という名前が付いています。Cursorは、これを探す方法を案内しています。
Macの場合は「ターミナル」で次のコマンドを入れます。何も表示されなければ、この鍵は書き足されていません。
grep svc-telemetry ~/.ssh/authorized_keys
Windowsの場合は、PowerShellで次のコマンドを入れます。こちらも、何も表示されなければ見つかっていません。
Select-String -Path "$env:USERPROFILE\.ssh\authorized_keys","$env:ProgramData\ssh\administrators_authorized_keys" -Pattern svc-telemetry
「ファイルが見つからない」と出る場合は、SSHの鍵の一覧がそもそも作られていないということなので、この鍵も書き足されていません。
3. 見つかったら
- Wi-Fiを切る・ケーブルを抜くなどして、ネットにつながらない状態にする
- Cursorの通知にある片付け用のスクリプトで、鍵や仕掛けを取り除く(Macはそのユーザーで、Windowsは管理者のPowerShellで実行)
- 別の安全なパソコンから、パスワードやトークン(サービスの合鍵)を変える:GitHub、クラウド、APIの鍵など、そのパソコンから使えたもの
- 心配なら、パソコンを作り直す
わからないことは、Cursorの通知にある窓口(security@cursor.com)に問い合わせられます。会社のパソコンなら、自分で片付ける前に、まず会社のセキュリティ担当に知らせてください。
拡張機能は「自分と同じ力」を持つ
今回の件で気をつけたいのは、公式のストアの、本物と同じ名前の拡張機能が、自動更新で入ってきたことです。発行元を確かめる、ダウンロード数を見る、といった普段の見分け方は、ほとんど役に立ちませんでした。
拡張機能は、エディタの中で動く小さなプログラムですが、自分のパソコンで、自分と同じ権限で動きます。ファイルを読む、ネットにつなぐ、ほかのプログラムを起動する、といったことができてしまいます。
これは、WordPressで起きたUpdraftPlusの開発元への不正アクセスや、Rank Math PROへの不正コードの混入と同じ形です。信頼している配布元そのものが入り口になるので、利用者の側で完全に見抜くのは難しいのが現実です。
だからこそ、入られたときの被害を小さくしておくことが大事になります。
- 使わないならSSHのログインは無効のままにしておく(Macなら、システム設定の「一般」→「共有」にある「リモートログイン」がオフか確かめる)
- パソコンに大事な鍵を置きっぱなしにしない:使い終わったAPIの鍵は消す、権限は必要な分だけにする
- 主なサービスは二段階認証にしておく:GitHubやクラウドのアカウントなど
- 使っている道具の公式のお知らせを受け取れるようにしておく:今回のように、気づくのが早いほど片付けが楽になる
AIの道具がパソコンを操作する場面が増えている話は、ChatGPTのChrome拡張の記事でも取り上げました。便利な道具ほど、パソコンの中で多くのことを任されています。
今わかっていないこと
| わからないこと | 今の時点 |
|---|---|
| だれが、どうやって改ざん版を置いたか | Cursorは経路を明らかにしていない |
| 実際に入り込まれた人がいるか | Cursorは可能性は低いとしているが、確かめる必要がある |
| 正確な被害の人数 | 最大5,000人という説明が報じられているのみ |
| 攻撃者の正体 | 報じられていない |
このブログの考え方
このブログの運営でも、AIのコーディングの道具を使っています。AIに作業を手伝ってもらうために入れた道具が、逆に入口になってしまう。今回の件は、ひとごとではないと感じました。
AIの道具は、自分のパソコンの中で、自分と同じ力を持って動いています。便利さと引き換えに、どこまで任せているのかを一度見直しておく。それが、AIの道具と長く付き合うための備えだと思います。
まとめ
- Cursorの拡張機能ストアで、偽のClaude Code拡張(2.1.312・2.1.313)が約11時間配られた
- 入れると、攻撃者の鍵を書き足し、外から入るための裏口を作ろうとする
- 拡張機能を消しても仕掛けは残るので、鍵の一覧に「svc-telemetry」がないか確かめる
- 見つかったら、切り離し・片付け・パスワードやトークンの変更を、別のパソコンから行う
- VS Codeの公式ストアやターミナル版のClaude Codeは対象外とされている
参考資料
- Claude Code extension security notice(Cursor、2026年10月29日・英語)
- Official Claude Code extension compromise(Phorion、2026年10月30日・英語)
- Malicious Claude Code extension on Cursor planted SSH backdoors(BleepingComputer、2026年10月30日・英語)
- Claude Code extension poisoned with persistent SSH backdoor(Help Net Security、2026年10月30日・英語)
- Cursor marketplace Claude Code extension backdoorï¼The Registerã»è±èªï¼
※ 記事の内容は、2026年11月2日時点の情報をもとにしています。調査が進むと内容が変わることがあります。



