AIの会話の「共有リンク」は誰が見られる?Metaの「Muse」で6,800件が丸見えに。ChatGPT・Gemini・Claudeの確かめ方と消し方
MetaのAI「Muse」で、共有された会話のリンク6,800件以上が誰でも探せる状態になっていました。共有リンクは「リンクを知っている人なら誰でも見られる」しくみです。ChatGPT・Gemini・Claudeで自分が作った共有リンクを確かめて消す方法と、共有する前に気をつけたいことをまとめました。
AIとの会話を、リンク1つで人に見せられる「共有」機能。便利な一方で、そのリンクが思わぬところから見つかってしまう事故が、また起きました。
10月、Metaの新しいAIアシスタント「Muse」で、共有された会話のリンク6,800件以上が、誰でも探せる状態になっていたことがわかったのです。中には、融資の申込書や、社長向けの売上資料まで含まれていました。
Museは日本ではまだ使えません。ただ、ChatGPTやGemini、Claudeにも同じような共有機能があります。この記事では、共有リンクのしくみと、自分が作ったリンクの確かめ方・消し方をまとめます。
この記事のポイント
- 共有リンクは「リンクを知っている人なら、誰でも見られる」しくみ。送った相手だけが見られるわけではない
- リンクは、検索エンジンやネットの記録など、思わぬ経路で広がることがある。過去にはChatGPTやGrokの会話も検索で見つかった
- ChatGPT・Gemini・Claudeには、作った共有リンクの一覧を見て、まとめて消せる画面がある。一度のぞいておくと安心
Museで何が起きた?
Museは、Metaが9月に米国で始めたAIアシスタントです。会話の中で作った資料などを、リンクで共有できる機能がありました。
調べたのは、セキュリティ会社のClarocです。Museの共有リンクは、アドレスの中に会話のタイトルがそのまま入る作りになっていました。共有ページを開くと、そのアドレスがネットの住所録(DNS)の問い合わせ記録に残ります。この記録は外部のサービスで検索できるため、そこから6,800件以上のリンクが見つかったといいます。
Clarocが開いてみた数百件の多くは、ふつうの内容でした。ただ一部には、次のようなものもありました。
- 小さな会社の融資の申込書
- 社長向けとされた社内の売上資料
- 銀行からの不正利用の通知(口座番号の一部つき)
- 会社の1年分の休暇予定表
Metaは10月20日、共有機能をいったん止めたと発表しました。今のところ、悪用された証拠は見つかっていません。
過去にも同じようなことが
共有リンクが思わぬ形で見つかったのは、今回が初めてではありません。
| 時期 | サービス | 何が起きたか |
|---|---|---|
| 2025年夏 | ChatGPT | 共有のときに「検索で見つけられるようにする」を選べる機能があり、4,500件以上の会話がGoogleの検索結果に出ていた。OpenAIはこの機能を取りやめた |
| 2025年8月 | Grok | 共有された37万件以上の会話が、Googleの検索結果に出ていたと報じられた |
| 2026年10月 | Muse | 会話のタイトルがアドレスに入っていたため、ネットの記録から6,800件以上が見つかった |
経路はそれぞれ違いますが、共通しているのは、使っている人は「相手に送っただけ」のつもりだったことです。
共有リンクの基本
共有リンクには、どのサービスでもほぼ共通する性質があります。
- リンクを知っている人なら、誰でも見られる:ログインや合言葉はいりません。送った相手がさらに別の人へ転送すれば、その人も見られます
- リンクは思わぬ経路で広がる:検索エンジン、ネットの記録、URLを調べるサービス、チャットの履歴など、どこかにアドレスが残れば、見つかるおそれがあります
- 共有したときの内容が、そのまま残る:多くのサービスでは、共有したあとに続けた会話は含まれません。逆に言えば、共有した時点の内容は、消すまで見られる状態が続きます
鍵のかからない部屋の住所を教えるようなもの、と考えるとわかりやすいかもしれません。住所を知る人が増えるほど、誰が入ってくるかはわからなくなります。
サービス別:共有リンクの確かめ方と消し方
| サービス | 一覧を見る場所 | 消し方 |
|---|---|---|
| ChatGPT | 「設定」→「データコントロール」→「共有リンク」の「管理する」 | 1件ずつ、またはまとめて削除 |
| Gemini | 画面下の「設定とヘルプ」→「公開リンク」 | 1件ずつ、または「すべてのリンクを削除」 |
| Claude | 「設定」→「プライバシー」→「共有チャット」の「管理」 | 共有の公開範囲を「非公開」に変える |
※ メニューの名前は、アプリの版や表示する言語によって少し違うことがあります。
ChatGPT
OpenAIのヘルプによると、「設定」の「データコントロール」に、自分が作った共有リンクの一覧があります。ここから1件ずつ、またはすべてをまとめて削除できます。
元の会話を削除した場合も、共有リンクは使えなくなります。ただし、相手がすでに自分の履歴に取りこんだ会話は、リンクを消しても相手の手元に残ります。
Gemini
Googleのヘルプによると、パソコン版のGemini(gemini.google.com)では「設定とヘルプ」の「公開リンク」に一覧があります。1件ずつ消すことも、まとめて消すこともできます。
なお、共有リンクを消しても、Geminiのアクティビティ(履歴)にある会話そのものは消えません。逆に、会話を履歴から消すと、その会話の共有リンクも使えなくなります。また、共有したあとに会話を続けても、共有ページの中身は変わりません。
Claude
Anthropicのヘルプによると、無料版・Pro・Maxでは「設定」の「プライバシー」から、共有中のチャットの一覧を開けます。共有をやめるときは、共有のメニューで公開範囲を「公開」から「非公開」に変えます。
会話に添付したファイルは、共有しても相手には見えません。また、チーム向けのプラン(Team・Enterprise)では、共有できる相手が同じ組織の人に限られます。
共有する前に気をつけたい4つのこと
1. 個人情報や会社の情報が入った会話は、共有しない
名前、住所、口座番号、パスワード、社外秘の資料などが入った会話は、リンクで共有しないのがいちばん安全です。どうしても見せたいときは、必要な部分だけをコピーして、メールや社内のチャットで送りましょう。
2. 仕事の会話は、組織向けの共有機能を使う
会社でAIを使うなら、共有できる相手を社内に限れる、組織向けのプランや設定を使うのが基本です。GeminiやClaudeの組織向けプランでは、管理者が共有を止めたり、相手を社内に限ったりできます。
3. 用が済んだら、リンクを消す
共有リンクは、作ったことを忘れがちです。上の表の画面で、ときどき一覧を見直し、もう使わないリンクは消しておきましょう。
4. 消しても、どこかに残ることがある
リンクを消せば、そのページは見られなくなります。ただ、それまでに誰かが保存した画面や、相手の履歴に取りこまれた会話までは消せません。「一度出したものは、完全には戻せない」と考えて、共有する中身を選ぶのが確実です。
AIに作業を任せる場面が増えるほど、会話に入る情報も増えていきます。ブラウザの操作をAIに任せるときの注意は、ChatGPTがChromeを操作する記事にもまとめています。
このブログの考え方
ボタン1つで共有できるのは、AIのいいところです。うまくいった質問のしかたや、便利な答えを人に見せたくなる気持ちもよくわかります。
ただ、「共有」と「公開」は、ほとんど同じ意味だと考えておいたほうがいいと思います。相手に送ったつもりのリンクが、気づかないうちに誰でも見られる場所に出ていく。今回のMuseの件は、送ったつもりと、公開されていたことのあいだにあるすき間を、あらためて見せてくれました。
まとめ
- MetaのAI「Muse」で、共有された会話のリンク6,800件以上が誰でも探せる状態になっていた(日本では未提供)
- 共有リンクは「リンクを知っている人なら誰でも見られる」しくみ。過去にはChatGPTやGrokの会話も検索で見つかった
- ChatGPT・Gemini・Claudeには、共有リンクの一覧を見て消せる画面がある。ときどき見直しを
- 個人情報や仕事の情報が入った会話は、リンクで共有しないのがいちばん安全
参考資料
- Gemini アプリでのチャットを共有する(Gemini アプリ ヘルプ)
- Share and unshare chats(Claude Help Center・英語)
- ChatGPT Shared Links FAQ(OpenAI Help Center・英語)
- Meta halts Muse share links after 6,800 turn up in public DNS records(PPC Land・英語)
- OpenAI removes ChatGPT self-doxing option(The Register、2025年8月1日・英語)
- xAI published hundreds of thousands of Grok chatbot conversations(Forbes Australia・英語)
※ 記事の内容は、2026年10月26日時点の情報をもとにしています。



