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IT・Web 公開日

WordPressのSEOプラグイン「Rank Math PRO」に不正コード混入。無料版は影響なし、有料版の人が確認すること

WordPressのSEOプラグイン「Rank Math」の有料版3.0.123に、サイトを乗っ取る不正なプログラムが混入していました。対象は日本時間10月16日5時〜16時ごろに配られたもので、無料版は影響なし。自分のサイトが関係あるかの見分け方と、やることをまとめました。

SEOプラグインへの不正コード混入を表す、サイトの画面に入ったパズルのピースと注意の三角マークのイラスト

WordPressのSEO対策でよく使われるプラグイン「Rank Math(ランクマス)」の有料版「Rank Math PRO」に、悪意のあるプログラムが仕込まれていたことがわかりました。開発元のRank Mathが、公式サイトで注意を呼びかけています。

怖いのは、怪しいサイトから入れたものではなく、公式から配られた更新ファイルそのものに混ざっていたことです。海外では大きく報じられていますが、日本ではほとんど話題になっていません。

この記事では、何が起きたのか、自分のサイトが関係あるかの見分け方、そして関係があった場合にやることをまとめます。

この記事のポイント

  • 対象は有料版のバージョン3.0.123で、日本時間10月16日5時2分〜16時12分に配られたものだけ。無料版は影響なし
  • その版を有効にしたサイトは、乗っ取られている前提で対応が必要。修正版3.0.124に更新するだけでは直らない
  • いちばん確実なのは、10月16日5時より前のバックアップに戻すこと。そのうえで、パスワードなどをすべて変える

何が起きたの?

Rank Mathの公式発表によると、有料版のバージョン3.0.123のファイルに、悪意のあるプログラム(マルウェア)が含まれていました。このプラグインを有効にすると、攻撃者がサイトに自由に出入りできる「裏口(バックドア)」が作られるおそれがあります。

裏口ができると、攻撃者は次のようなことができるようになります。

  • サイトのファイルを書きかえる、管理者のアカウントを勝手に作る
  • サイトのデータベースのパスワードや、外部サービスのカギ(APIキー)などを盗む
  • 消しても、ページが表示されるたびに裏口を作り直す

セキュリティ企業の評価では、深刻度は10点満点中9.8点(CVE-2026-111862)。ログインしていない外の人から悪用できる、とても危険なものです。

なお、どうやって配布ファイルに混ざったのか(侵入の経路)は、公式発表では明らかにされていません。

「サプライチェーン攻撃」とは

今回のように、ソフトそのものではなく、ソフトを作ったり配ったりする途中に入りこんで、正規の配布物に悪いものを混ぜる手口を「サプライチェーン攻撃」と呼びます。

ふだん「公式から入れたものなら安全」と考えている利用者ほど、気づきにくいのがやっかいな点です。

自分のサイトは関係ある?

まず、次の順番で確かめてください。

確認すること 答え 関係するか
使っているのは無料版? 無料版だけ 関係なし(公式も対応不要としている)
有料版のバージョンは? 3.0.123 ではない 基本的に関係なし。念のため3.0.124以降に
3.0.123 を入れたのは? 日本時間10月16日5時2分〜16時12分 関係する可能性が高い
3.0.123 を有効にした? 入れただけで有効にしていない ファイルを消して3.0.124を入れ、念のため検査

注意したいのは、バージョンが3.0.123でも、問題の時間帯以外に入れたものは対象外とされている点です。逆に、自動更新が有効になっていた場合は、自分で操作していなくても、この時間帯に更新されている可能性があります。

乗っ取りのサイン

公式発表では、次のようなものが見つかったら要注意としています。

  • 管理画面の「ユーザー」に、「wpsupport_」で始まる、見覚えのない管理者がいる
  • 本来ないはずのファイル(例:wp-includes フォルダの中の class-wp-cache-util.php)がある
  • サーバーの設定ファイル(.htaccess)に、見覚えのない書きかえがある

ただし、サインが見つからないからといって、安全とは言い切れません。3.0.123を問題の時間帯に有効にしていたなら、乗っ取られている前提で動くのが安全です。

関係があった場合にやること

公式が案内している手順を、わかりやすく整理しました。

1. いちばん確実なのは「バックアップに戻す」

日本時間10月16日5時2分より前に取ったバックアップがあれば、サイトのファイルとデータベースをまとめて、その時点に戻します。レンタルサーバーには、自動でバックアップを取ってくれるものも多いので、サーバーの管理画面を確認してみましょう。

2. バックアップがない場合

自分で取り除くことになりますが、作業はかなり専門的です。公式が「最優先」としているのは、次の2つです。

  • 「rank-math-pro」のフォルダごと削除する(無効にするだけでは足りない)
  • 裏口を作り直すためのデータを、データベースから削除する

このあと、見覚えのない管理者の削除、ほかのプラグインやテーマのファイルの確認などが続きます。自信がなければ、サーバー会社や、WordPressのセキュリティに詳しい専門の業者に相談するのが安心です。

3. パスワードやカギを、すべて変える

バックアップに戻した場合も、この手順は必ず必要です。盗まれた情報は、サイトを元に戻しても相手の手元に残るからです。

  • WordPressの管理者のパスワード
  • データベースのパスワード
  • サーバー・FTPのパスワード
  • メール送信や外部サービスにつないでいるAPIキー

4. 修正版を「公式サイトから直接」入れ直す

修正版の3.0.124は、Rank Mathの公式サイトに自分でアクセスして、ログインしてからダウンロードします。公式は、メールに書かれたリンクは使わないようにと案内しています。この騒ぎに便乗した、偽のお知らせメールに気をつけましょう。

無料版の人も、ひとつだけ確認を

無料版は今回のマルウェアとは関係ありません。ただし公式によると、システムの入れ替えのため、10月13日〜16日に作られた無料のアカウントが削除されています。該当する人にはメールで案内が届いており、アカウントを作り直して、WordPressの管理画面から「Rank Math SEO」→「Dashboard」→「Help」でつなぎ直す必要があります。

SEOの設定そのものは消えませんが、作り直すまでは、Search Consoleとの連携やAIの機能などが使えません。

ブログを運営する人が、ふだんからできること

今回の件は、気をつけていても防ぎにくい種類のものでした。だからこそ、被害にあったときに元に戻せる備えが大事になります。

  • バックアップを、自動で、定期的に取る:何日か前の状態に戻せるよう、複数の世代を残しておく
  • 使っていないプラグインは消す:入っているプラグインが少ないほど、狙われる入り口も減る
  • 管理者のアカウントを、ときどき見直す:見覚えのない管理者がいないかを確認する
  • 自動更新とどう付き合うか決めておく:弱点の修正がすぐ届く便利さがある一方、今回のように悪いものまで自動で届くこともある。大事なサイトなら、更新の数日後に内容を確認する習慣をつける

同じ時期には、WordPressを動かす「PHP」の深刻な脆弱性も見つかっています。こちらは「PHPの“致命的”な脆弱性、修正版が公開」でまとめています。

このブログの考え方

WordPressのプラグインは、だれでも手軽にサイトの機能を増やせる、とても便利な仕組みです。今回の件で「プラグインはこわい」と感じた人もいるかもしれませんが、使わないのが正解というわけではありません。

大事なのは、便利な道具に頼ることと、いざというときに元に戻せる備えのあいだのバランスです。バックアップさえあれば、今回のような事態でも、慌てずにやり直せます。

まとめ

  • 有料版「Rank Math PRO」の3.0.123に、サイトを乗っ取るマルウェアが混入していた。無料版は影響なし
  • 対象は、日本時間10月16日5時2分〜16時12分に配られたもの
  • その版を有効にしたサイトは、乗っ取られている前提で、バックアップに戻す→パスワードなどをすべて変える→修正版3.0.124を公式サイトから入れ直す
  • 公式から配られたものでも、100%安全とは限らない。バックアップと、プラグインの整理が最大の備え

参考資料

※ 記事の内容は、2026年10月22日時点の情報をもとにしています。