Macの「メール」で会社のメールが届かない?Microsoft 365の仕様変更が原因かも。確かめ方と3つの対処法
Microsoftが2026年10月から、会社・学校向けMicrosoft 365の古い接続のしくみ「EWS」を順番に止めています。Macの標準アプリ(メール・カレンダーなど)は同期できなくなることがあります。iPhoneは影響なし。自分が当てはまるかの確かめ方と、3つの対処法をまとめました。
「Macの“メール”アプリで、会社のメールが急に届かなくなった」「カレンダーの予定が更新されない」。そんな人は、Macの故障や設定ミスではなく、Microsoftの仕様変更が原因かもしれません。
Microsoftは2026年10月から、会社や学校向けの「Microsoft 365」のメールで、古い接続のしくみ「EWS」を順番に止めています。Macに最初から入っている「メール」「カレンダー」などのアプリは、まだこのしくみを使っているため、同期やサインインができなくなることがあります。Appleも10月14日に、日本語のサポート記事で案内を出しました。
この記事では、何が起きているのか、自分が当てはまるかの確かめ方、そして今日からできる対処をまとめます。
この記事のポイント
- 対象は、**Macの標準アプリ(メール・カレンダー・連絡先・メモ・リマインダー)**に、会社や学校の Microsoft 365 のアカウントを入れている人
- iPhone・iPadは別のしくみで同期しているので、影響を受けない。会社が自前のメールサーバー(オンプレミスのExchange)を使っている場合も対象外
- 止まるタイミングは組織ごとに違う。2027年4月1日には完全に止まる。それまでに、会社の管理者に相談するか、Outlookアプリに切り替えるのが現実的
何が起きているの?
EWSは、メールや予定表をアプリとやりとりするための、昔からある接続の窓口です。Microsoftは2018年に「今後は機能を足さない」と発表し、2023年には「クラウド版では2026年10月に止める」と予告していました。
Microsoftの公式ドキュメントによると、予定は次のとおりです。
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 2026年10月 | すべての組織で、EWSを順番に無効にし始める |
| 2027年4月 | EWSを完全に無効にする |
止める理由のひとつは安全面です。2024年1月、Microsoft自身が受けた大きなサイバー攻撃でEWSが悪用され、廃止の動きが急がれました。代わりに使うよう求められているのが、新しい窓口「Graph(グラフ)」です。
なぜMacの標準アプリだけが困るの?
Microsoft自身のアプリ(Outlookなど)は、すでにEWSに頼らない形に作り替えが進んでいます。一方、Macの「メール」「カレンダー」「連絡先」「メモ」「リマインダー」は、今もEWSで会社のメールとつながっています。
Appleは、これらのアプリを新しい窓口のGraphに対応させる作業をMicrosoftと一緒に進めていて、今後の macOS 27 のアップデートで対応すると説明しています。ただし、10月25日時点でその更新はまだ配信されていません。
つまり、Microsoftが窓口を閉め始めたのに、Macの標準アプリの引っ越しがまだ終わっていない、という“すき間”が生まれているわけです。
自分は当てはまる? 確かめ方
1. Macのアプリに「Exchange」のアカウントが入っているか
Macの「システム設定」→「インターネットアカウント」を開き、「Exchange」と表示されたアカウントがあるか見てみましょう。会社や学校のメールアドレスで、Exchangeとして登録していれば、今回の対象になりえます。
2. Web版のOutlookでは届いているか
ブラウザでWeb版のOutlookにサインインし、メールが届いているか確かめます。Web版では届いているのに、Macの「メール」には来ないなら、今回の変更が原因の可能性が高いといえます。
3. iPhoneでは届いているか
同じアカウントを入れたiPhoneやiPadで届いているなら、それも手がかりになります。iPhone・iPadは「Exchange ActiveSync」という別のしくみで同期しているため、今回の影響を受けません。
なお、止まるタイミングは組織(会社や学校の契約)ごとに順番なので、同僚は平気なのに自分の会社だけ止まった、ということも起こります。
対処法は3つ
その1:会社・学校の管理者に相談する(まずはこれ)
Appleのサポート記事も、利用者にはExchangeの管理者に相談するよう案内しています。管理者側は、自分の組織でEWSが止められていないかを見て、EWSを使ってよいアプリの一覧(許可リスト)に「Apple Internet Accounts」を加えれば、しばらくは使い続けられます。
ただし、これは2027年4月1日までの一時しのぎです。その日を過ぎると、管理者の設定でもEWSは使えなくなります。
その2:Outlookアプリに切り替える
いちばん確実なのは、Microsoftの**Outlookアプリ(Mac版)**に切り替えることです。Outlookは新しい窓口に対応しているので、今回の変更の影響を受けません。
会社によっては、使ってよいアプリが決まっている場合もあります。勝手に入れる前に、社内のルールを確認しておきましょう。
その3:macOS 27のアップデートを待つ
AppleがGraphへの対応を配信すれば、標準アプリのまま使い続けられるようになる見込みです。ただし、いつ配信されるかは発表されていません。仕事のメールが止まると困る人は、待つだけにせず、その1かその2をあわせて考えておくのが安心です。
やってはいけないこと
同期が止まると、つい「アカウントを削除して入れ直せば直るかも」と考えがちです。でも、原因がEWSの停止なら、入れ直しても直りません。かえって、Macにだけ残っていたメールや下書きが消えてしまうおそれもあります。
アカウントを削除する前に、まずWeb版のOutlookで届いているかを確かめ、管理者に相談しましょう。
会社の情シス担当・ひとり情シスの人へ
社員が少ない会社では、管理者がいなかったり、Web制作会社や詳しい人が片手間で面倒を見ていたりすることもあります。Macを使う社員がいるなら、次の点を早めに確かめておくと、問い合わせが一気に来るのを防げます。
- 社内で、Macの標準アプリで会社のメールを読んでいる人がいるか
- 組織のEWSの設定(有効かどうか)と、許可リストの状態
- 2027年4月1日以降は、Outlookアプリなどへの切り替えが必要になること(社内への案内)
Microsoftは管理者向けに、EWSの使用状況を確かめるレポートも用意しています。
このブログの考え方
ある日とつぜん便利な道具が動かなくなるとき、原因はたいてい手元ではなく、**会社と会社の“つなぎ目”**にあります。今回もMacもMicrosoftも、それぞれは正しい方向に進んでいて、そのあいだの引っ越しが少し遅れているだけです。
だからこそ、「メールが来ない=自分のせい」と思いこまず、まず原因を切り分けることが大事です。仕事のメールのように止まると困るものは、ひとつのアプリに頼りきらず、Web版など“逃げ道”を知っておくと安心です。
まとめ
- Microsoftは2026年10月から、会社・学校向けメールの古い接続のしくみ「EWS」を順番に止めている。完全停止は2027年4月1日
- Macの標準アプリ(メール・カレンダー・連絡先・メモ・リマインダー)はまだEWSを使っているため、会社や学校のメールが同期できなくなることがある。iPhone・iPadは影響なし
- 確かめ方は、「インターネットアカウント」にExchangeがあるか、Web版のOutlookでは届いているか
- 対処は、管理者に相談(2027年4月まで)、Outlookアプリに切り替え、macOS 27の対応を待つ、の3つ。アカウントの削除・入れ直しでは直らない
参考資料
- macOSでMicrosoft Exchangeアカウントにサインインできなくなった場合(Appleサポート、2026年10月14日)
- Exchange Online での Exchange Web サービスの廃止(Microsoft Learn)
- Exchange Online EWS, Your Time is Almost Up(Microsoft Exchange Team Blog、英語)
※ 記事の内容は、2026年10月25日時点の情報をもとにしています。



