ゲーム開発に生成AI、どこまでOK?Steamの開示ルールとプレイヤーの本音から見る「線引き」
Steamの新作の約3割が生成AIの利用を開示する時代。グラフィックや音などプレイヤーが触れる部分は開示が必要、開発の効率化は対象外というSteamのルールと、プレイヤー約3,800人の調査から今の線引きを整理しました。
ゲームづくりにも、生成AIが入りこんできています。プログラムを書く手伝いから、グラフィックや音楽、文章まで、使える場面はどんどん広がっています。
一方で、「AIが作ったグラフィックのゲームは買いたくない」という声もあり、ゲームファンの受け止めはさまざまです。どこまでならOKで、どこからが議論になるのか。PCゲームの大手ストア「Steam」のルールや、プレイヤーへの調査をもとに、今の「線引き」を整理します。
この記事のポイント
- Steamでは、プレイヤーが目にする・耳にする部分(グラフィック(アートワーク)・音・物語・翻訳など)に生成AIを使ったら、ストアページで開示するルール
- プログラミングの補助や仮の素材など、開発を効率化するための使い方は開示の対象外
- プレイヤーの受け止めも「効率化はOK、表現の部分は慎重に」という傾向
どれくらい使われているの?
ゲームの市場について講演した内容を伝えるGameBusiness.jpの記事(2026年3月)によると、Steamで2026年(1月末まで)に発売された作品のうち、約30%が生成AIの利用を開示していました。2025年に発売された作品では約21%だったので、1年ほどで大きく増えたことになります。
Steamの「線引き」:見せる部分か、裏方か
Steamは、ゲームを販売する開発者に、生成AIを使ったかどうかを申告してもらい、その内容をストアページに表示しています。2026年1月には、この申告の説明が書き直され、何を開示すべきかがはっきりしました。
| 開示が必要 | 開示は不要 | |
|---|---|---|
| 考え方 | プレイヤーがゲームの中で触れるもの | 開発の作業を効率化するための道具 |
| 例 | キャラクターや背景のグラフィック(アートワーク)、音楽・効果音、物語やセリフ、翻訳 | プログラムを書く手伝い、相談相手としてのチャット、あとで差し替える仮の素材 |
ポイントは、**「AIを使ったか」ではなく「プレイヤーが体験するものにAIが入っているか」**で分けていることです。
プレイヤーはどう受け止めている?
ゲーム市場の調査会社GameDiscoverCoが2026年7月に公表した、Steamユーザー約3,800人への調査(英語で実施したため、欧米のユーザーが中心)では、次のような結果が出ています。
| 生成AIを使ったゲームを買うことについて | 割合 |
|---|---|
| まったく気にしない | 23.4% |
| 買う妨げにはならない | 19.6% |
| どちらともいえない | 25.6% |
| あまり乗り気ではない | 23.3% |
| どんな場合でも買わない | 8.1% |
「気にしない」派が約43%、「乗り気でない」派が約31%と、意見は分かれています。自由回答では、約半分が「使い方による」という条件つきの受け入れで、プログラミングや試作での利用は受け入れられやすく、グラフィックや音楽などの表現に使うことには反対が多いという傾向でした。
また、約89%が開示の情報に目を通している一方で、約75%は「すべてが開示されているわけではない」と感じているそうです。開示のルールがあっても、信頼されるかどうかは別の話だということがわかります。
地域による差もあり、先ほどの講演では、欧米での抵抗感がもっとも強く、日本でも抵抗はあるものの欧米ほどではない、と紹介されています。
なぜ「表現」の部分は議論になりやすいの?
- 作り手の仕事への影響:イラストレーターや作曲家、声優などの仕事が置きかわるのでは、という不安
- 学習データの問題:AIが学んだ元の作品の作者が、使われることに同意していたのかという疑問
- 作品の「らしさ」:ゲームの魅力は、作った人のこだわりや個性にある、と感じるファンが多いこと
逆に、コードを書く手伝いや、テストの効率化は、プレイヤーから直接は見えず、品質や開発スピードの向上につながるため、受け入れられやすいと考えられます。
プレイヤーとしてできること
- Steamのストアページを確認する:生成AIを使っている作品には、「AI生成コンテンツの開示」が表示されます
- 何に使っているかまで読む:一言で「AI使用」といっても、背景の一部なのか、キャラクター全体なのかで印象は変わります
- 気になる点は、レビューや開発者の発信で確かめる
このブログの考え方
ゲームは、物語やグラフィック、音楽に「作った人の熱」が乗っているところが好きで、ずっと遊び続けています。だからこそ、表現の部分にAIが入ることに、もやもやする気持ちもよくわかります。
一方で、この記事でも紹介したように、AIは裏方の作業を楽にして、作り手がこだわりたい部分に時間を使えるようにする道具にもなります。「何に使ったかを正直に伝える」ことが、作り手とプレイヤーのあいだの信頼をつなぐいちばんの近道だと思います。
まとめ
- Steamでは、2026年の新作の約30%が生成AIの利用を開示している
- 開示が必要なのは、グラフィック(アートワーク)・音・物語・翻訳など、プレイヤーが触れる部分。開発の効率化は対象外
- プレイヤーの約43%は気にしない一方、約31%は否定的。「効率化はOK、表現は慎重に」が多数派
- 買う前に、ストアページの開示を確認しよう
参考資料
- Steamで“生成AI利用”の開示基準が明確化。「開発効率化AIツールの使用」は報告不要、ユーザーが触れる「アート」などと線引き(AUTOMATON、2026年1月17日)
- Steamユーザーの43%は「ゲームに生成AI使われてても気にせず買う」との調査結果。“使い方次第”など、温度差くっきり(AUTOMATON、2026年7月8日)
- 2026年1月にリリースされたSteamの新作3割が生成AIを利用していた(GameBusiness.jp、2026年3月27日)
※ 記事の内容は、2026年10月21日時点の情報をもとにしています。



