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DeepSeekの新モデル「V4.1-Flash-1017」で何が変わった?日本から使う前に知りたい料金と“データの行き先”

中国のDeepSeekが10月17日に新モデル「V4.1-Flash-1017」を公開。何が良くなったのか、日本時間で見たAPI料金のピーク、11月1日に有料になる検索API、入力したデータが中国のサーバーに保存される点など、使う前に知っておきたいことをまとめました。

DeepSeekの新モデルを表す、AIの会話画面から点線でサーバーへ向かう矢印と、時計のイラスト

中国のAI企業DeepSeek(ディープシーク)が、2026年10月17日に新しいモデル「DeepSeek-V4.1-Flash-1017」を公開しました。9月に出たばかりの「V4.1-Flash」を、さらに鍛え直した改良版です。

DeepSeekといえば、「性能のわりに安い」ことで注目される一方、日本では個人情報保護委員会が利用時の注意点を公表したこともあります。この記事では、今回なにが変わったのかと、**日本から使うときに知っておきたい料金のしくみと“データの行き先”**をまとめます。

この記事のポイント

  • 新モデルは「前より賢く、速く、答えが短い」。性能を上げながら、かかるコストも下げたと説明している
  • ネット検索をAIに使わせる「Search/Fetch API」も一般公開。一部の無料扱いは日本時間11月1日1時に終わる
  • 公式のアプリ・Web・APIで入力した内容は中国のサーバーに保存される。仕事の情報を入れる前にルールの確認を

「V4.1-Flash-1017」ってどんなモデル?

名前の「1017」は、10月17日に公開した版という意味です。DeepSeekの公式発表によると、9月10日に出た前の版とくらべて、

  • テストの成績が上がった
  • 頼んだ作業を早く終わらせる
  • 出力(答え)が短くなった

の3点が改善され、「性能とコストの両方が良くなった」としています。答えが短くなると、そのぶん料金も待ち時間も減るため、たくさん使う人ほど効いてくる変更です。

特に力を入れているのが、ゲームや3Dの作品を最初から最後まで作り上げる力です。公式発表では、紫禁城の3Dモデル、ブラウザで遊べるレースゲーム、ゲームエンジン「Godot」で作ったゲームなどを作例として紹介しています。AIが自分の出来を見直しながら学ぶ方法(自己フィードバックを使った強化学習)で鍛えたそうです。

なお、成績のグラフはDeepSeek自身が測ったものです。ほかの会社のAIと比べてどうかは、第三者の検証を待ったほうがよいでしょう。

9月からの流れをおさらい

DeepSeekはこの2か月ほどで、モデルの入れ替えを続けています。

時期 できごと
2026年9月10日 新しい設計の「V4.1-Flash」を公開。画像の理解にも対応し、API料金を値下げ
2026年10月17日 改良版「V4.1-Flash-1017」を公開。Search/Fetch APIを一般公開

「Flash」は本来、軽くて安い版につけられる名前です。それでもDeepSeekは9月の発表で、「上位のV4-Proより、性能・コスト・速さで上回った」と説明していました。軽い版を磨き込んで主力にしていく、という流れが見えます。次の上位版「V4.1-Pro」は、まだ出ていません。

料金は「平日の昼と夕方」が2倍

APIを使う人(アプリやサービスに組み込む開発者など)にとって大事なのが、時間帯で料金が変わるしくみです。DeepSeekの料金表では、混み合う時間帯(ピーク)が決められていて、それ以外の時間はピークの半額になります。

ピークは協定世界時(UTC)で書かれているので、日本時間に直すと次のとおりです。

区分 日本時間 料金
ピーク 平日の10時〜13時、15時〜19時 通常の料金
オフピーク 上記以外(土日と中国の祝日は終日) ピークの半額

日本の会社が仕事で使う時間帯と、ピークがかなり重なっているのがわかります。急がない大量の処理(記事の下書きの一括作成やデータの整理など)は、夜や朝にまとめて流すと半額になる計算です。

参考までに、2026年10月22日時点のV4.1-Flash-1017の料金(100万トークンあたり)は次のとおりです。

種類 ピーク オフピーク
入力(キャッシュあり) 0.006ドル 0.003ドル
入力(キャッシュなし) 0.3ドル 0.15ドル
出力 1.2ドル 0.6ドル

トークンは、AIが文章を数えるときの単位です。「キャッシュあり」は、同じ前置きの文章をくり返し送ったときに安くなるしくみのことです。料金は変わることがあるので、使う前に公式の料金表を確かめてください。

AIにネット検索をさせる「Search/Fetch API」

今回もうひとつ大きいのが、「Search API」と「Fetch API」の一般公開です。

  • Search API:キーワードで検索して、見つかったページの一覧や要約を返す
  • Fetch API:指定したページを読みこんで、中身を整理した文章で返す

AIは、学習した時点より新しいことを知りません。そこで、AIに検索とページの読みこみをさせて、最新の情報をもとに答えさせる使い方が広がっています。DeepSeekは自社で検索エンジンを持っていて、それを外部の開発者にも開いた形です。

料金はどちらも1,000回あたり0.75ドルです。ただし、DeepSeekのAPIを「Claude Code」「Codex」などの開発ツールにつないで使う場合、ツールが裏側で呼び出す検索はいまは無料で、日本時間2026年11月1日1時から有料になります(公式では「北京時間11月1日0時」)。無料のうちに試している人は、課金が始まる前に使い方を見直しておくと安心です。

日本で使う前に知っておきたい「データの行き先」

ここからは、APIを使わない人にも関係する話です。

DeepSeekのプライバシーポリシー(2026年2月10日更新)には、集めた情報を中華人民共和国にあるサーバーに保存すると書かれています。集める情報には、入力した文章やアップロードしたファイル、チャットの履歴、端末やIPアドレスの情報などが含まれ、モデルの改善(学習)にも使うとしています。学習に使われるのを断りたい場合は、メールで申し出る方法が案内されています。

日本の個人情報保護委員会も、2025年2月に次の2点を情報提供しています。

  • DeepSeekが取得したデータは、中国にあるサーバーに保存されること
  • そのデータには、中国の法令が適用されること

中国の法令の例として、個人情報保護法やデータセキュリティ法のほか、国家情報法などが挙げられています。同じ時期には、日本の政府機関に向けても、業務で使うときの注意が呼びかけられました。

「使ってはいけない」という話ではありません。ただ、ほかの国内向けのサービスと同じ感覚で、何でも入力してよいわけではないということです。

  • 個人で試すなら:名前・住所・電話番号など、個人を特定できる情報は入れない
  • 仕事で使うなら:会社のAI利用ルールで認められているかを先に確認する。社外秘の資料や、お客さまの情報は入れない

「オープン」だから自宅で動かせる?

V4.1-Flash-1017は、AIの本体そのものが「Hugging Face」などのサイトで無料公開されています。ダウンロードすれば、DeepSeekのサービスを通さずに、自分たちのサーバーで同じAIを動かせるということです。そうすれば、入力した内容を中国のサーバーに送らずに使えます。会社のサービスに組み込んで使ってもよい、ゆるい条件で配られています。

ただし、家庭のパソコンで気軽に動かせる大きさではありません。前の版の発表によると、モデル全体のパラメーター数は5,520億。実際に動かすのは、高性能なGPUをたくさん積んだサーバーが前提です。

「オープンだから安全」「オープンだから無料」とは限らない点は、押さえておきたいところです。会社で導入するなら、国内や信頼できる事業者のクラウドで動かすサービスを選ぶ、といった方法も検討の候補になります。

AIを選ぶときの考え方

DeepSeekの強みは、性能のわりに料金が安く、モデルの中身まで公開していることです。一方で、データの保存場所や、どの国のルールが適用されるかは、ほかの有名なAIと事情が違います。

どのAIを選ぶかは、性能や値段だけでなく、**「何を入力するのか」「そのデータがどこへ行くのか」**まで含めて考えるのがおすすめです。用途に合わせたAIの選び方は「AIが多すぎて選べない人へ」で、AIに作業を任せるときの注意点は「今さら聞けない『AIエージェント』とは?」でまとめています。

このブログの考え方

安くて賢いAIが増えるのは、使う側にとってうれしいことです。DeepSeekのように、性能に比べて料金が安いAIは、個人や小さな会社にとって心強い選択肢になります。

ただ、AIを選ぶときに見るのは、性能と値段だけではありません。便利さと、データを預ける安心のあいだで、何をどこまで入力するかを自分で決めておく。それが、たくさんのAIとうまく付き合うコツだと思います。

まとめ

  • DeepSeekが10月17日に「V4.1-Flash-1017」を公開。前より賢く、速く、答えが短くなり、コストも下がったと説明している
  • APIの料金は、日本時間の平日10〜13時と15〜19時がピーク。それ以外は半額
  • 開発ツール経由の検索(Search/Fetch API)の無料扱いは、日本時間11月1日1時に終わる
  • 公式のアプリ・Web・APIのデータは中国のサーバーに保存され、中国の法令が適用される。個人情報や仕事の情報を入れる前に、ルールを確認しよう

参考資料

※ 記事の内容は、2026年10月22日時点の情報をもとにしています。